昨年8月に開かれた出産準備のためのマタニティー教室で一緒だったという20歳代女性は、読売新聞に寄せたメールで、おなかの赤ちゃんを気遣っていた武中容疑者の当時の様子と事件の落差に驚く一方、孤独な育児に不安を募らせる母親たちの現状を訴えた。
◆叫び◆
女性によると、武中容疑者は人に積極的に話しかけるタイプではなかったが、声を掛けると、愛想良く言葉を返した。「頻繁におなかが張るけど(赤ちゃんは)大丈夫やろか」と気にかけ、親子のきずなの大切さを訴える講師の話を涙して聞いていたという。
それだけに事件を知って、女性は<なんで連絡先を交換しなかったんやろう?><救える命があったかも>と後悔をつづった。
さらに〈私も初めての子育てでくたくたの毎日〉〈トイレにも行けない。30分でいいから一息つける時間が持てたら……。そんな母親はいっぱいいます〉と記し、〈母親の人間的な未熟さも原因の一つでしょう。でも、妊娠・出産でホルモンバランスは崩れ、精神的にもろくなっているのを忘れないで〉と訴えた。
「ひとごととは思えない」。事件を受け、堺市内の子育てサークルに参加している複数の母親は読売新聞の取材にそう答えた。1歳の長女を持つ同市南区の女性(32)は友人との雑談で発散しているが、「話し相手がいなければ、すべてを抱え込み、ノイローゼになっていてもおかしくない」と打ち明けた。
◆ストレス◆
育児ストレスの要因について、2003年度版の厚生労働白書は、▽少子化による育児経験の不足▽出産に伴う仕事や体調など生活の変化▽夫の育児不参加▽近隣との関係の希薄化――などを挙げ、出産後の母親について「産後うつ病が発症しやすい時期で、体の変化がもたらすストレスにも留意が必要」とし、「強い育児不安は児童虐待発生のリスクを高める」と注意を呼びかけている。国は昨年4月、生後4か月までの乳児がいる家庭に保健師らが訪問する事業を法制化し、市町村に努力義務を課した。
武中容疑者も出産直後の昨年12月に堺市の訪問を受けていた。問題なし、とされたが、約1か月後の今年1月22日、自ら市中保健センターを訪れ「娘をたたいてしまう」と訴えた。「(親などは)遠くて頼りにくい」と話し、孤立した育児環境をにじませていたという。長女はその3日後に揺さぶられて死亡。武中容疑者は今月16日に逮捕された。
府警の調べに「夜も眠れないほど子育てに疲れていた」「夫が育児を手伝ってくれない」などと供述した。
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